お腹が大きくなる安定期から出産後にかけて目立つ正中線。気になるのが目立つ正中線は自然に消えるの?消えないの?妊娠線との違いは?など。正中線とはおへその下に縦に一本あらわれる茶色っぽい線。
妊娠前にはほとんど見えなかったのに、妊娠してしばらくすると正中線が出てしまい、出産が終わってもそのまま消えずに悩んでしまう。妊娠中から出産後の正中線に悩む方の典型パターンです。
妊娠中の正中線の原因から対処法など幅広くご紹介していきますので、参考にしていただければと思います。
正中線とは?
正中線という言葉自体が意味するのは、左右対称の構造をした生物体の前面と背面の中心を、頭部から縦にまっすぐに通る線。人間の体にあらわれる正中線は生まれつきのもので、妊娠していない方でも正中線が見えることがあります。
これは何も女性に限ったことではなく、男性の方でも正中線がある方は大勢います。正中線が出ているからといって、痛みや痒みがあるわけでなく、見かけ以外に不都合があるわけではありません。
正中線の原因は細胞分裂の名残ともいわれていて、生まれつきあるもの。薄く見えるか、濃く見えるかは体質にもよりますが、妊娠中はおなかが大きくなるため、正中線のある部分の皮膚が薄くなり、そのため正中線が目立ちやすくなる傾向にあります。
正中線ってどんなもの?
下腹部の正中線はおへそを中心に上下に縦に一本あらわれます。おへその上にはなく、下方向にだけある場合もあります。色は人それぞれですが、ごく薄い茶色が一般的。妊娠前はほとんど見えなかったのに、妊娠中にうっすらと見え始め、色がだんだん濃くなったという方が多いようです。
正中線は生まれつきくっきり見えている方もいれば、肌色とまったく同じでほとんど見えない方もいますが、妊娠中に正中線がそれまでよりも濃くなり、目立ちやすくなる傾向が顕著です。正中線だけでなく、妊娠中に急におへそが黒ずむこともあります。
正中線はいつ消える?自然に消えるの?
妊娠中にあらわれる正中線やおへその黒ずみは、ほとんどの場合、出産後しばらくすると徐々に消えていきます。正中線がいつ消えるかに関しては個人差が多く、適切な対処方法を心得ておかなければなりません。
出産後数ヶ月で消える場合にはそれほど気になりませんが、出産後1年以上たってもなかなか消えてくれない場合もあり、正中線やおへその黒ずみは女性にとっては悩みの種。正中線を薄くするポイントを覚えておくことが必要です。
正中線は疾患ではありません
正中線には痛みも痒みもありません。皮膚疾患や副作用というわけではありませんので、そのままにしておいても問題ありません。ただ女性の立場からすると、おなかの真ん中にくっきりと正中線が浮かんでいるのは非常に気になるものです。
妊娠中に正中線がくっきり出た場合、出産後しばらくそのまま消えずに残ることが多く、一体いつになったら消えるのか、悩んでしまう女性も大勢います。水着が着れないのでプールやビーチに行けないのは残念です。
妊娠中に正中線が濃くなる原因とは?
正中線だけでなく、妊娠中は乳首やデリケートゾーン、ワキや足の付け根の色も濃くなる傾向にあります。妊娠中にあらわれるこのような症状の原因は、妊娠を機に分泌が盛んになる女性ホルモンにあると考え
られています。妊娠中は妊娠前に比べると女性ホルモンの分泌変化が大きく、いろいろな点で体に変化が生じます。
女性ホルモン分泌バランスの変化
女性の体に大きな影響を与える女性ホルモン。プロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲン(卵胞ホルモン)はどちらも女性の生殖機能になくてはならない必須のホルモンで、生理周期の変化に伴って分泌量を増減させています。
このうち妊娠中の色素定着に大きな影響を与えるのがエストロゲン。エストロゲンが皮膚に及ぼす影響について詳しくみてみましょう。
エストロゲンの特徴とはたらきとは?
エストロゲンは美のホルモンとも呼ばれるホルモンで、女性らしい美しさをもたらしてくれます。エストロゲンの分泌量の変化ですが、妊娠中は出産が終了するまでずっと分泌量が増えたままで推移していきます。エストロゲンの働きのひとつは、女性らしい丸みを帯びた体つきをつくり、皮膚が老化することを抑制することにあります。
エストロゲンは色素を沈着させる?
エストロゲンにはヒアルロン酸やコラーゲンの産出を助けるはたらきがあり、これにより皮膚の保湿性が向上します。また皮膚だけでなく、毛髪の質も良くしてくれる作用も備えています。美容に良い作用をたくさん備えたエストロゲンですが、皮膚の色素に関しては、メラニン色素の生成を促しますので、エストロゲンの分泌が多いと色素沈着が起こりやすい状態になってしまいます。
女性ホルモンバランスの崩れとお肌のトラブル
エストロゲンは皮膚の老化を防ぐとはいえ、それと同時に顔にしみやそばかすといったお肌のトラブルをもたらすこともあり、女性にとっては非常に悩ましい状況に陥ってしまいます。
しみやそばかすだけでなく、ワキや足の付け根、乳首、デリケートゾーンといったような部分にも色素が定着し、黒ずんでしまうことがあります。また肝斑(かんぱん)と呼ばれる大きなしみやそばかすも、ホルモンバランスや自律神経のバランスの崩れとなんらかの関係があると考えられています。
しみやそばかすの原因は紫外線を大量に浴びること、くすみや黒ずみの原因は、エイジングによるターンエーバー(皮膚の新陳代謝)や化粧品によるダメージなど、女性のお肌のトラブルにはいろいろな原因がありますが、エストロゲンによる影響やホルモンバランスの乱れもそのひとつといえます。
妊娠の為に皮膚が引っ張られる
おなかの赤ちゃんの成長とともに子宮はどんどん大きくなっていきます。おなかの皮膚が急に引っ張られることにより、下腹部の皮膚が薄く伸びた状態になり、このために生まれつきある正中線の色が目立ってしまいます。
おなか全体が大きくなり、皮膚が全体的に引っ張られるので、正中線自体も引っ張られてしまい、色が濃く見えます。正中線は生まれつき誰にでもあるものですが、おなかの皮膚が引っ張られることにより、正中線の部分が広く伸びてしまい、否が応でも目だってしまいます。
お肌のターンオーバーの乱れ
皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が乱れてしまうと、皮膚にくすみやたるみが出てしまい、肌のつやが無くなります。妊娠中に伴う疲れやストレスにより、体調が悪くなると、肌や髪、爪といったパーツも衰えてしまいます。
妊娠初期のつわりによる栄養不足もその一因。お肌の調子が衰えていることにより、もともとある正中線の周りの皮膚にたるみやくすみが出てしまい、そのために正中線が目立ちやすくなります。
正中線の対処法、ケア方法
正中線の目立つのは完全に予防することは出来ません。妊娠に伴うホルモン分泌に関わっていますので、どんなに丁寧にスキンケアを行っていても出来てしまうときは出来てしまいます。
妊娠中に色が濃くなった正中線は、出産後再び少しずつ消えていきますが、消える時期には個人差があります。早い方では出産後数ヶ月でほとんど見えなくなりますが、遅い方では出産後1年半以上経過しても、なお色が濃いままということもあります。
自然に消えることもあれば、なかなか消えてくれないこともある。消える時期に関してもまちまちと、正中線は対処するのが非常に難しい症状ですが、出産後できるだけ早く消すにはやはり基本のスキンケアをおさえておかなければなりません。
肌の新陳代謝を正常にする
色素の定着が起こるのは皮膚の新陳代謝に乱れが生じているせい。お肌のターンオーバー(新陳代謝)が正常にはたらいている場合には、皮膚が次々と生まれ変わりますので、メラニン色素は皮膚表面に押し出され、色素が沈着することはありません。
しかし肌の新陳代謝に異常が生じてしまうと、皮膚の生まれ変わりのリズムが崩れ、メラニン色素が沈着してしまい、結果としてしみやくすみといったお肌のトラブルが起きてしまいます。
妊娠中はホルモン分泌の関係により、色素が沈着しやすくなっていますが、出産後はホルモン分泌のバランスも妊娠前の状態に戻っていきます。出産後は極力生活習慣や食習慣を整え、お肌の新陳代謝を正常に戻していくようにしましょう。
皮膚に摩擦を与えない
皮膚に過剰な摩擦が起こると色素が沈着しやすくなります。正中線を消そうとして過剰なマッサージを行うのはNG。マッサージを行う際には皮膚への負担に少ないクリームを利用し、力を入れて皮膚をごしごしこすることは絶対にやめましょう。
また色素が沈着しやすい部分が服で擦れないように、肌触りのよい、やわらかい素材の服を選ぶこともポイントです。
正中線と妊娠線の違いと妊娠線の対処方法
妊娠中のお肌のトラブルの筆頭に挙げられるのが妊娠線。急激におなかが大きくなることにより生じる皮膚のひび割れで、皮膚が凹凸状に赤黒くなることもあります。
おなかだけではなく、おしり、太もも、二の腕など、体の中でも面積の広い部分に生じやすく、適切に対処しなければいつまでも消えずに残ってしまうおそれがあります。
妊娠線と正中線はそれぞれ原因が違いますので、両者の違いをはっきりと認識し、対処方法を心得ておくことが重要です。正中線の原因については上に述べたとおりですが、では妊娠線の原因とは何でしょうか。
妊娠線の原因とは?
妊娠線の原因は下腹部を中心に起こる急激な体重増加や体型の変化。皮膚の表面は体重の急激な増加に応じて伸びますが、皮膚の下層にある真皮は伸びないため、組織が断裂してしまいます。
これが妊娠線のできるしくみで、とくに体重に急激な増加が起こる妊娠中期以降にあらわれやすくなります。
皮膚の真皮とは?
真皮とは皮膚の下層にあるベースの部分で、皮膚の大部分を占めます。表皮とは皮膚に露出した表面部で、皮膚の表面を外部からの刺激から守ると同時に、水分が逃げないように保護しています。
妊娠線ができる仕組みにおいて関係あるのは、真皮の部分。表皮は体重増加に応じて伸びていくのに対し、真皮は急激な体重増加に対応できずに、断裂してしまい、赤紫色のひび割れとして表れます。
真皮の大部分はコラーゲンで構成されています。コラーゲンは線維状のタンパク質で、真皮には他にもヒアルロン酸などの保湿成分も含まれます。妊娠線は急激な体重増加に耐え切れず、真皮のコラーゲンが断裂してしまうことによって起こります。
妊娠線が出来る時期とは?
妊娠線が出来るのは、体重が急激に増加するため。つまり妊娠線がもっとも出来やすいのは妊娠後期ということになります。
その次に妊娠線が出来やすいのが妊娠中期、体重の増加があまりない妊娠初期に妊娠線が出来ることはほとんどありません。
ただし体重管理に失敗した場合など、妊娠初期でも妊娠線が出来てしまうこともありますので、妊娠線の予防には体重管理が重要です。
妊娠線対策はどうする?
妊娠線は妊娠という特別な状態がもたらすデメリット。どんなに注意していても、妊娠線が出来るのを完全に予防することは出来ませんが、体重管理を厳重に行うことや、保湿などのスキンケア、そして出産後のお手入れなど、妊娠線対策はたくさん考えられます。
妊娠中は体重管理を厳重に行い、出来るだけ妊娠線ができないようにすることが重要です。予防策は講じたものの、どうしても出来てしまったときには、出産後のケアをしっかり行いましょう。保湿ケアは基本中の基本ですが、それだけでなく体を内側から整え、皮膚の新陳代謝を活性化してくれる栄養素をたっぷり摂取することも効果的です。
まとめ
妊娠中の正中線について、その原因から症状、対処方法など知っておきたいさまざまな情報をご紹介しました。妊娠中のお肌のトラブルというと妊娠線が真っ先に思い浮かびますが、妊娠線だけでなく正中線も妊娠・出産を経験する女性の悩みの種です。
妊娠線と正中線は似ているようで、まったく異なるものなので、両者の違いをきちんと見分け、それに応じた対処法を取ることが大切です。
妊娠線と違い、正中線はもともと誰にでもあるもので、それが妊娠を機に色が濃くなったもの。妊娠に伴う一時的な症状ですので、予防することは困難です。妊娠中にあらわれた正中線を出来るだけ早く、効率的に消すには出産後のケアが大切です。