妊娠すると現れる普段とはまったく違う体の変化に、喜びよりも戸惑いや不安が大きい妊婦さんも多いようです。その変化は心身両方に現れ、精神面では情緒不安定・やる気のなさが顕著になり、身体面ではつわりやお腹が大きくなり体重が増えます。
それらは妊娠中や産後にはなくなるものですが、なくならないのが妊娠線です。妊娠線とは簡単に言えば、体の大きくなるスピードに真皮の細胞の生成が追いつかず、切れてしまって出来た暗赤色のぎざぎざのラインの事で、産後は色が白色になるのですがラインはそのまま残ってしまい、水着を着る時に目立つと気にするお母さんが増えているのです。
妊娠線ケア用品も多く販売されているのですが、使い方は分かってもいつからいつまで使えばいいのかが分からずに買わないまま、なんていう方もいます。そこで、いつから予防・ケアを始めたらよいのか、また使用時に気をつける事をご紹介します。
妊娠線のできる確率は?
妊娠線を予防するクリームをつければ100%防げる、なんて事は残念ながらありません。実は日本人の妊娠線が出来る確率は6~7割と非常に高く、妊娠線が出来るか出来ないか、出来るとしたらどれくらい出来るのかというのは個人差によるとしか言えません。
妊娠線のでき方は個人差がある
妊娠線が出来にくいのは、急に伸びても切れにくい柔軟性のある皮膚や皮下脂肪の少ないタイプの方ですが、それでも皮下脂肪が少ない痩せ型は、お腹が出てきた時に皮膚が引っ張られやすくなり切れてしまう可能性もあり、また何のケアをしなくても妊娠線が出来なかったという人もいて、一概にこうだとは言えないのが妊娠線についての悩みが尽きない原因なのでしょう。
ただしこの数字を見てみると、妊娠線予防ケアをすればもし出来てしまったとしても、最小限に抑える事が出来そうです。
いつから始める 体調をチェックして開始時期を決めよう
さて、いつから始めたらよいかは、これもまた個人差によります。大体はつわりの時期が終わって、本格的にお腹が大きくなり始める4ヶ月目くらいから始める人が多いのですが、そこは自分の体調と相談して決めるのが一番です。
例えば、双子や三つ子・それ以上を妊娠している方は他の人よりもお腹が大きくなりやすいので、4ヶ月目よりも前に始めた方が良いでしょう。
体質変化した場合は早めに予防を
もともと妊娠中は乾燥肌へと体質が変わるのですが、妊娠が分かった頃に冬を迎えると肌の乾燥がさらに加速して、妊娠線を作ってしまう大きな原因になります。
こんな時は、いつもより早めの対策を行うべきでしょう。それから35歳以上の高齢出産をされる方は、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)同様に妊娠線にも気をつけましょう。
妊娠線は真皮内の繊維芽細胞やコラーゲンが切れて出来るものですが、それと同時に妊娠中は肌のターンオーバー機能を妨げるホルモンが分泌されているので、細胞の生成が遅れて跡が残ってしまうのです。30代以降は肌の機能が衰えますがそこに抑制ホルモンが分泌されるため、更に線の数も増え跡が残りやすくなる傾向にあります。
つわり中の妊娠線ケアはどうする?
妊娠線ケアを始める時期は4ヶ月目が平均と述べましたが、その他にも「つわりが治まったら」というアドバイスもあります。
つわりの原因は、体内環境の変化や妊娠維持に必要なホルモンの急激な大量分泌など言われていますがはっきりした原因は分からず、またつわりの時期もたいていは妊娠2~4ヶ月で収まりますが、中には臨月までつわりに苦しむ人もいて、つわりが収まる時期もまた個人によります。
体もだるく気持ち悪くて食欲がわかない状態ならば、妊娠線ケアを考える余裕もないでしょうし胎児もまだ大きくなっていませんから、心身が安定するまでは妊娠線を気にする必要はないでしょう。
しかし、お腹が大きくなってきてもまだつわりの症状が続いているようなら、もう始めてしまった方がよいかもしれません。その時はグレープフルーツやレモンなど柑橘系の香りのクリームを使えば、匂いで気持ち悪くなるのを抑えられるでしょう。
保湿力の高いものを選んで
今は妊娠線予防専用クリームがさまざまなメーカーから発売されていて、どれを買ったらよいか迷ってしまいますね。専用クリームはコラーゲンやビタミンなどを含んでいて、高い保湿効果があるだけでなく美容成分もあるのが特徴です。
メリットばかりのように思えますが、ただ値段が高いので毎日・長期間使うとすれば大きな出費となってしまうのがデメリット。専用クリームにこだわらなければオイルやクリームもたくさんありますが、妊娠線予防として選ぶ場合は保湿力の高いものを最優先に選びましょう。
また、妊娠すると体質が変わって肌が乾燥しやすくなる事を考えれば、いつもスキンケアに使っている保湿クリームでは物足りないかもしれません。
そういう人は保湿効果の高いヴァセリンやニベア・馬油をメインに使ってもよいかも。専用クリームを使い続けたいけど乾燥しちゃって、という方はクリームを塗ってから上にこれらを塗るとふたの役割をしてクリーム内の成分をしっかり浸透させられます。
できてしまっても気にしない
毎日しっかりケアしていても、出来てしまう時はあります。しかし頑張ったのにと思い返してクヨクヨするよりは、出来る人の割合を考えればしょうがないと考えた方が、お腹の赤ちゃんのためにも良いですよね。
一生残るといっても日本人の肌の白さではぐっと近づかなければあまり目立たず、現在では出来てしまった妊娠線を消す方法もあります。また、本来ならばもっとたくさん出来るはずだった妊娠線をここまで抑える事が出来た、とプラスに考えればまたケアする気持ちも出てきます。
他の部分ができていないかチェックを
まず妊娠線を発見した場合は、全身をチェックして腿や胸・臀部にも出来ていないかみてみましょう。もしあったらその箇所を重点的にケアするようにします。
それと同時に急に体重が増えていないか、肌の乾燥の原因となる冷えをもたらすような肌の露出が多い服を着ていないか、などをチェックして思い当たる部分は改めるよう気をつけましょう。
できた妊娠線は産後のケアが必要
妊娠線を予防する目的ならば、産後はクリームを塗る必要はありませんね。(美肌効果はありますから使い続けても問題はありません。)しかし、妊娠線が多くできてしまった場合は、産後にこそ力を入れて妊娠線をケアしましょう。
細胞生成を抑制するホルモンが原因で、切れた箇所の繊維芽細胞はつながらずにそのままで皮膚層を形成しません。ですからその場所は皮脂の分泌もなく乾いてしまうので、白く光っているように見えるのです。
しかし保湿を行いながら肌細胞の代謝を促進させる事、つまり新陳代謝をアップさせれば妊娠線を少なくする事が出来ます。
消すには新陳代謝を上げる
血行を促進させると新陳代謝があがるので、産後すぐは安静にしていても1ヵ月後からはストレッチやマッサージを始めて、血の流れを良くしましょう。じっくりお風呂に入って汗をたくさんかくのも、リフレッシュをかねた良い方法です。
目的に合わせて妊娠線クリームを選ぶ
妊娠線クリームには3種類あって、予防目的なのか出来てしまった妊娠線のケア目的なのかで、含有成分が少々異なります。また両方を兼ね備えた妊娠クリームもあります。
妊娠線予防目的ならスクワランやグリセリンなどの保湿成分の他に、葉酸やその他ビタミン・コラーゲン・ヒアルロン酸など美肌成分を含むのが特徴ですが、妊娠線予防ケア目的では細胞を活性化させるビタミンEやコラーゲンを作るサポートをするビタミンCなど含まれているのが特徴です。
例えば今人気のベルタマザークリームですがさまざまな成分が含有されており、とてもお得なクリームの一つと言えます。
大体市販されている妊娠線クリームは、予防とケア両方を1本でカバーするようになっていますが、急にお腹が大きくなってきたなら予防専用で妊娠線の数や大きさが気になるならケア専用のクリームというように、気になる場合は使い分けても良いでしょう。
まとめ
妊娠線は確かに気になりますが、一方では「自分の大事な子供を生んだ証だから」と躍起にならずのんびり構えている人もいます。
どう思うかは個人次第ですが多くの女性がなるものと考えて、またお母さんのネガティブ思考はお腹の赤ちゃんにも影響するので、神経質にならずに自分のペースで予防・ケアしましょう。