妊娠初期は皆さん多少の差はあれどつわりに悩まされる時期ですよね。その後の安定期はお腹も大きくなってお腹の中に赤ちゃんがいるんだと、やっとお母さんになる実感が味わえる時期に入ります。
さて、お腹が大きくなってくる頃から気になってくるのが妊娠線ですね。プールや温泉で胸や腹・ももに何本も白い筋が入った女性を見かけた事がありませんか?あのラインが妊娠線で、一回出来てしまったら跡が残りやすいのが妊娠線の困った所です。
家族で海水浴やプールに出かけても、お母さんがそれを気にして楽しい思いが出来なければ、子供も寂しく感じてしまいます。また子供だけでなく、ご主人もこの見慣れないお腹の模様にびっくりされるかもしれませんね。
家族でどこに出かけても楽しい思い出を残すためには、やはり妊娠線のケアはしたほうが良いかもしれません。そこで妊娠線ができる理由とその予防ケア方法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
妊娠線ができるのはこんな理由
妊娠線ができるのは、お腹の赤ちゃんが成長するにつれて皮膚が引っ張られ、切れてしまうのが原因です。
軽度を含めると、なんと60%から70%の妊婦に妊娠線ができるとの事。妊娠中の体重増加は、身長や妊娠前の体重によってどれくらいまで増やしても良いのかが異なりますが、一般的には一週間に500gが望ましいとされています。
その平均的な体重増加量でも普段と比べればかなりの急増ですから、お腹や臀部・胸・太ももなど大きくなるスピードに表皮は追いつけても、内部の真皮にある網目状のコラーゲンの生成が追いつかずに切れてしまうのです。
また、実はあまり知られていないもう一つの原因があって、それがホルモン分泌です。妊娠中はその状態を維持するために、さまざまなホルモンが分泌され続けていて、その中の一種であるコルチコステロイドがコラーゲン生成や肌のターンオーバー機能を抑制する働きを持っているのです。
ですから、通常ならば真皮内のコラーゲンが切れても補修可能なのに対して、妊娠中に切れた場合は難しくそのまま跡に残ってしまい、肌自体も弱くなるためさらに妊娠線が出来やすくなります。
お腹の中央にできる線も妊娠線?
妊娠線は大きくなる方向で出るラインも変わります。例えばお腹が急にぐっと前にせり出すようになれば縦方向に妊娠線が出来、胸や臀部など前方だけでなく横にも広がる箇所は横に妊娠線が出来ます。
大きさや線の数は個人差がありますが、どの場合も妊娠中は引っかいたような赤紫色の線で、産後次第に白い線に変わっていきます。ところで、その妊娠線の他にもう一本線が出来る人が多いです。
それは、妊娠線のあのギザギザとは違いお腹の中央を走る茶色のラインで正中線と呼ばれるものです。妊娠線と正中線はまったく異なり、妊娠線がコラーゲンや繊維芽細胞の亀裂によって出来るものなのに対して、正中線は自分が胎児の頃の細胞分裂の跡が、妊娠中のホルモンの影響でメラニン色素が定着して見えるようになったものなのです。
妊娠中はホルモンの影響により得てして黒ずみが発生しやすくなり、正中線の他にも胸や腋の下・へそ周りにも現れます。ただし、妊娠線と違って産後は次第に薄くなり跡に残る事はありませんので、あまり心配しないようにしましょう。
どんなタイプの人が妊娠線できやすい?
妊娠線が出来るかどうかは体質によるものが大きく、体重管理や妊娠線ケアをしっかりした人でも出来てしまったり、何もしていなくても大丈夫だったという個人差があります。
それでも妊娠線の出来やすい人の大体の傾向としては、急激な体重増加や多胎妊娠・皮下脂肪が多い・乾燥肌の方などが挙げられます。妊娠中は体重が増えるのが当たり前ですが、コンスタントに増えるのと、つわりで食べられなくなって体重が減っても安定期になって食欲が増して一気に増える場合では、後者の方が妊娠線が出やすくなります。
また双子やそれ以上を妊娠する多胎妊娠では、お腹もさらに大きくなりますから、妊娠線が出やすくなるのも分かりますね。皮下脂肪の厚さは、肌の弾力性に影響があります。皮下脂肪が多ければその分肌も突っ張ってあまり動かなくなりますから、妊娠前からBMI25以上の肥満型の判定が出た人は妊娠線が出来やすいのです。
それから乾燥肌の人も同様。意外に思われるかもしれませんが、冬の乾燥した時期に唇の端が切れたり、ささくれが出来やすいのを考えると納得ですよね。
妊娠中は体質が変わって乾燥肌になる人も少なくありませんので、妊娠前は普通肌・脂質肌だったという人も注意が必要です。
予防ケアを始めるのはいつから?
胎児と母体をつなぐ胎盤内の血管が完成し、胎児へ酸素や栄養素を与えて老廃物を排出する働きが本格的になる時期を安定期といいます。つまりその頃からお腹がどんどん大きくなっていくのですね。
何も予防ケアしないうちにお腹が大きくなってしまうと、妊娠線が出来るのはあっという間ですから、それよりも早めに予防ケアを開始するのが良いでしょう。そうすると妊娠線ケアを始める目安は妊娠4ヶ月くらいです。
もちろんついうっかり忘れてしまい妊娠線が出来てしまってからでも、これ以上増やさないように気づいた時からしっかり予防ケアすればよい事で、上に述べた妊娠線が出来やすいタイプの方はそれよりも早めにスタートしても良いかもしれません。
妊娠線ができるのはお腹だけじゃない
妊娠線予防ケアをする時は、お腹だけではなく胸や臀部・太ももの妊娠線にも注意しましょう。
胸は母乳を作るために乳腺が発達し出産前までに平均1~2カップ大きくなりますが、成長期とは違って主に乳房の下半分がおおきくなるため、乳房の横や下側・脇に妊娠線が出来る事が多いです。
また、日々大きくなる子宮を支え安定させるために、骨盤も少しずつ開いていきます。骨盤が広がった分、太ももが外に張り出したり臀部が大きくなるので、臀部のサイドや太ももの内側に横に引っかいたような妊娠線が出来ます。
ちろん骨盤を支える股関節も広がり大きくなるので、Vラインにも出来やすくなります。予防ケアをする時には、度々全身をチェックしましょう。
基本の妊娠線の予防ケア方法
妊娠線予防ケアの目的は、肌の乾燥を防ぎ弾力性を持たせてお腹などが大きくなるスピードに真皮が耐えられるようにする事です。
普段の保湿ケアと同様に行えば良いのですが、もう少し念入りに保湿クリームの量を増やしたり保湿性の高いクリームを選ぶのがポイントでしょうか。また、上に述べたようにお腹を中心とした体幹にも出来ますので、そのあたりを意識して塗るとよいでしょう。
妊娠中は疲れやすくなったり気持ちが不安定になりますが、クリームを塗ってマッサージすればリラックスできますし、またお腹の赤ちゃんと向かい合えるチャンス。気持ちをこめてマッサージしたり話しかけたりすれば、二人にとって大事な時間になりますね。
専用クリームじゃなくても代用できる
妊娠線専用クリームが多種発売されていて、どれを選んだらよいか分からない妊婦さんもいるでしょう。確かに、どれも保湿効果・美容効果の高い成分が含まれていて、妊娠中の肌の乾燥や妊娠線をきれいに抑えてくれそうです。
ただ、値段がネックだと思いませんか。4ヶ月目から予防ケアを始めたとしても7ヶ月使うわけですから、1本の単価が高いといくら効果があっても続けるのが難しいですね。
そんなお金は赤ちゃんのために使いたい、と予防ケアをやめてしまう妊婦さんもいるかもしれませんが、実は妊娠初期でしたら専用クリームでなくても十分代用できるものがあるんです。それはニベアと太白ごま油。
ニベアはもうその万能効果では有名ですが、妊娠線にももちろん使えます。缶に入ったニベアをそのまま使うよりも、化粧水と混ぜて使えば伸びもよく効果も倍増だとか。
太白ごま油はアーユルヴェーダにはなくてはならない油で、ごま特有のにおいもなくたっぷり使ってもベタベタせず、また出産後の赤ちゃんマッサージにも使える万能油です。
妊娠線に有効なクリームを
せっせと保湿クリームを塗り体重が急に増えないようにいくら努力しても、妊娠線が出来る時は出来てしまうもの。ショックのあまり、予防ケアしてもしなくても同じと放置してしまえばあっという間に妊娠線があちこちに出来てしまうでしょう。
妊娠初期の段階では、上記のニベアなどで対応できますが、お腹が大きくなってきたり、できてしまって妊娠線には、やはり妊娠線専門のクリームで予防ケアが必要になります。
最終手段は美容外科
妊婦の6~7割に出来てしまうという妊娠線は、いくら予防をがんばったとしても多少出来てしまうのは当たり前の事です。でも目立つ場所に出来てしまったり量が多い場合は、いつまでも悩みの種になってしまいますよね。どうしても目立つ妊娠線をなんとかしたい、と考えている方には美容外科をお勧めします。
妊娠線の改善や出産後のたるみに対応している美容外科では、レーザー照射でターンオーバーを早めコラーゲン生成を促進したり、カーボメッドと呼ばれる炭酸ガスを注入する機械で有酸素運動をしたのと同様の状態にさせ、皮下脂肪を減らして妊娠線を改善するなど、さまざまな器具を用いて治療を行います。
ただし1回で効果はあまり出ないので複数回通う必要があり、形成外科や整形外科扱いならば社会保険が適用されますが、美容外科は保険が適用されないので治療によっては一回数万単位の費用がかかる場合があります。
まとめ
妊娠線が出来る理由をしっかり判っていれば、対処のしかたもおのずと分かるようになってきます。また妊婦さんの多くに妊娠線が出来るものですから、あまり心配せずに保湿を行う事を心がけましょう。