妊婦が卵を食べるときに知っておきたいこと

妊婦が生卵を食べれる?食べない?調理済みは? 妊娠中

ホカホカのご飯に新鮮な卵をかけて食べる卵かけごはん、アツアツのすき焼きに絡めて食べる生卵。どちらも魅力的な卵の食べ方ですが、妊婦の方は気をつける必要があります。

完全栄養食と言われる卵ですが、妊娠中は生卵をはじめ生の食べ物は避けるべきと言われています。また、調理済みの卵も積極的に食べるべきという意見もあれば、食べ過ぎてしまうと良くないという意見もあるため、一体何を参考にすればよいのか戸惑ってしまうこともあるでしょう。

そこで、妊婦が生卵を食べていいのか、悪いのかといった意見や、加熱調理済みでも卵がもたらす影響についてなど、さまざまな情報を幅広くご紹介していきましょう。

目次

妊婦は生卵を食べるのを控える理由は

妊婦は生卵を食べるのを控える理由は

妊娠中は、生卵をはじめ、生魚、生肉などの生ものを食べるべきではないと言われています。では、なぜ妊婦は生卵などの生ものを食べるのを控えるのでしょうか。

妊娠中は免疫力の低下している

妊娠中は免疫力の低下している

妊娠中は、今までとは違い身体の構造が大きく変わり、たくさんの栄養が赤ちゃんを優先に送られていくため、母体は不安定な状態になりやすくなります。ホルモンバランスや自律神経のバランスも崩れるため、つわりがひどかったり、体調を崩してしまったりする方も多いでしょう。

身体の調子が不安定になると、免疫力が低下してしまうため、今まで影響のなかったものに過敏に反応しやすくなります。風邪を引きやすくなったり、肌荒れを起こしたりしやすくなるのはそのためです。

食べ物に関しても免疫力の低下は重要で、生卵を食べることにより食中毒にかかるリスクが高まるようになります。そのため、妊婦は生卵をはじめ生もの全般を避けるべきだと言われているのです。

妊婦は薬が服用できないから

妊婦は薬が服用できないから

妊娠中は、身体の調子が不安定になって具合が悪くなっても、すぐに薬を服用することはできません。薬の成分が母体や赤ちゃんに良くない影響を与えてしまう可能性があるからです。

そのため、生卵を食べて食中毒にかかっても回復するまでに時間がかかるようになってしまいます。

生卵でかかる食中毒について

生卵でかかる食中毒について

妊婦が生卵を食べてはいけないのは、免疫力が下がって食中毒にかかりやすいことと、薬を安易に服用できないことが関係しています。生卵を食べて食中毒にかかってしまうのは、サルモネラ菌が原因となります。

サルモネラ菌について

サルモネラ菌 卵

生卵にはサルモネラ菌が含まれているため、妊娠中の免疫力が低いときに食べると食中毒を引き起こしやすくなります。昔に比べるとサルモネラ菌による食中毒の患者は減少傾向にあります。

今まで食べて平気だったから大丈夫だろうと安易に生卵を食べてしまうと、食中毒にかかってしまう恐れがあるので、できるだけ控えるようにしましょう。

食中毒の症状について

食中毒の症状

生卵のサルモネラ菌に感染し、食中毒になるとどのような症状が引き起こされてしまうのでしょうか。生卵の食中毒は、激しい腹痛を伴い、下痢を引き起こし、吐き気や嘔吐を引き起こします。

また、下痢や嘔吐の症状が重いと脱水症状を引き起こすこともあるでしょう。他にも、発熱する場合があります。

赤ちゃんへの影響について

赤ちゃんへの影響について

生卵のサルモネラ菌に感染し、食中毒になると赤ちゃんにはどのような影響が出てしまうのでしょうか。基本的に、サルモネラ菌は胎盤を通過することはできないため、菌が赤ちゃんの身体に侵入することはありません。

ただ、サルモネラ菌には子宮を収縮させる作用を引き起こす可能性があります。妊娠初期に子宮収縮が起きると切迫流産になる恐れがあります。

また、激しい食中毒の症状が出ると、脱水症状が引き起こされ思うように栄養が取れないため、赤ちゃんに送るための栄養や水分などが不足してしまうようになります。そのため、食中毒の症状が長く続く場合、赤ちゃんに影響してしまう可能性はあるでしょう。

妊婦が生卵で食中毒になった時の対処方法

生卵を食べて食中毒の症状が現れてきたと思ったら、どのように対処すべきなのでしょうか。具体的にご紹介しておきましょう。

まずは産婦人科へ連絡

まずは産婦人科へ連絡

食中毒の症状が疑わしい場合は、まず産婦人科に連絡するようにしましょう。いつから、どのような症状が現れているか具体的に伝えることで、的確なアドバイスを受けることができます。

妊娠初期の頃は、つわり症状を食中毒と間違えることもありますが、下痢や発熱を伴う場合食中毒の可能性が高いと言えます。念のため、直前や前日に食べた食事をメモし、どれくらいの熱があるのかも伝えておきましょう。

自己判断で薬を飲まない

自己判断で薬を飲まない

食中毒の症状が疑わしい場合でも、安易に市販の薬を服用しないでください。薬には母体や赤ちゃんに良くない影響を及ぼす成分が含まれている可能性があるため、自己判断で薬を服用するのは非常に危険です。

産婦人科を受診し、食中毒だと診断されたら、妊婦でも服用できる薬を処方してもらうことができます。生卵のサルモネラ菌に感染した食中毒なら、産婦人科で「スピラマイシン」などの薬を処方されるでしょう。薬には副作用があるので、きちんと説明を受けて服用するようにしてください。

食中毒は、早めに処置すれば治りも早く、薬の服用期間も短くなるので母体や赤ちゃんへの影響を最小限にすることができるので、食中毒かもしれないと思ったら、すぐに病院で診てもらうようにしましょう。

食中毒を未然に防ぐ方法

妊婦は生卵を食べると食中毒にかかりやすくなるため、基本的には食べないようにするようにしましょう。ただ、卵にはサルモネラ菌が含まれているため、加熱したとしても菌が心配という方もいらっしゃるでしょう。そこで、卵を食べるうえで食中毒を未然に防ぐ方法についてもご紹介しておきましょう。

ひび割れの卵に注意

ひび割れの卵に注意

卵を買う時は、必ず卵を360度見てひび割れしていないか確認するようにしましょう。卵の殻にひび割れがあると、そこからサルモネラ菌が侵入し増殖してしまう可能性があるからです。

クッション性の高いパック包装されている卵が多いため、スーパーなどで購入する場合は心配ないと思いますが、念のため確認してから購入するようにしましょう。

サルモネラ菌除去の卵を買う

サルモネラ菌除去の卵を買う

日本で流通している卵のほとんどは、洗浄され清潔な状態で販売されているため、滅多に食中毒に感染することはないと言われています。ただ、わずかでもサルモネラ菌が含まれている可能性もあるので、心配な方はサルモネラ菌があらかじめ除去されている卵を購入すると良いでしょう。

また、直売所などで販売されている卵は、十分に殺菌消毒されていないこともあるので、販売者に確認してから購入するようにすると安心です。

妊婦は卵を触ったら、必ず手を洗う

妊婦は卵を触ったら、必ず手を洗う

卵による食中毒を防ぐためには、卵を調理する時も気を抜くことはできません。卵を触ったら、必ず手を洗うようにしましょう。

卵の殻にわずかなサルモネラ菌が付着していると、手についたまま他の食材にも移ってしまうからです。また、卵の殻が卵の中に入ってしまった時は、念のため加熱して充分火を通してから食べるようにすると安心です。

割ってから放置はしないこと

割ってから放置はしないこと

サルモネラ菌は温度によって活動範囲が大きく変化するという報告があり、10℃くらいから活動し始め、最も活動が活発になるのは20℃~37℃くらいだと言われています。

ここで気になるのが、家庭の室温も同程度ということ。先に卵を割っておいても、あれこれ他のことに気を取られて放置してしまうと、室温によって一気にサルモネラ菌が増殖してしまう可能性があります。

厚生省では家庭では10度以下で保存するよう指導していますので、卵料理を作る時は直前まで冷蔵庫に入れておき、出来た後はなるべく早く食べるのがポイント。また火がしっかり通っている卵料理であっても、時間が経つと再びサルモネラ菌が増殖するので、長時間そのままの卵料理は思い切って捨ててしまうのも大事です。 参考※1・※2

卵は加熱で殺菌処理

卵は加熱で殺菌処理

卵による食中毒を防ぐには、加熱するのが一番です。食中毒を引き起こすサルモネラ菌は熱に弱いため、加熱調理することで殺菌することができます。そのため、妊婦の方は生卵ではなく加熱調理済みの卵を食べるようにしましょう。

妊婦は加熱調理済みの卵は食べていいの

妊婦は調理済みの卵は食べていいの

妊娠中に生卵を食べると食中毒にかかる可能性がありますが、加熱調理済みのものであれば心配ありません。ただ、調理済みの卵であっても卵を食べすぎると良くないのでは?と思う方もいらっしゃるでしょう。

そこで、調理済みの卵は1日どれくらい食べるべきか、またさまざまな注意点についてもご紹介しておきましょう。

妊婦が食べる卵の目安

妊婦が食べる卵の目安

調理済みの卵なら、食中毒にかかる心配はないため安心して食べることができます。ただ、1日に何個も卵を食べるのは身体にとっても胎児にとってもよくありません。1日に食べる卵の目安としては、1個~3個くらいまでがちょうど良いでしょう。

卵は意外とさまざまな食品に含まれています。パンやお菓子などを頻繁に食べる場合は、意識して卵をたくさん食べる必要はないでしょう。

妊婦が卵を食べると赤ちゃんがアレルギーに?

妊婦が卵を食べると赤ちゃんがアレルギーに?

調理済みの卵であっても、妊婦が食べると赤ちゃんがアレルギーを持って産まれてくるという話があります。

この件に関してはさまざまな意見が分かれるところではありますが、たくさん卵を食べた妊婦から生まれた赤ちゃんにアレルギーがない場合もありますし、ほとんど卵を食べなかった妊婦からアレルギーの赤ちゃんが産まれる場合もあります。

アレルギーは、どちらかというと体質として遺伝するものなので、お母さんやお父さんにアレルギーの体質がある場合、発症する可能性が高くなるでしょう。アレルギー体質があり、赤ちゃんにできるだけ影響させたくないという方は、卵は1日1個までに抑えておくと安心です。ただ、それで100%アレルギーを遺伝させないことはできないので、あまり気にしすぎないようにしましょう。

コレステロールやカロリーを摂り過ぎて肥満に?

コレステロールやカロリーを摂り過ぎて肥満に?

調理済みの卵であっても、食べ過ぎるとコレステロールやカロリーを摂り過ぎてしまうようになります。卵は完全栄養食と言われるほどたくさんの栄養が詰まっていて、人間の身体に必要なアミノ酸が20種類含まれており、バランスも絶妙です。

そのため、妊婦が摂取すべき食品としても推奨されていますが、食べ過ぎるとコレステロールやカロリーを摂り過ぎて肥満を引き起こしてしまう可能性があります。妊娠中に必要以上に脂肪を蓄えてしまうと、産道が狭くなって難産となったり、妊娠高血圧症候群を引き起こしたりする可能性があるので、食べすぎには充分注意するようにしましょう。

ビタミンAの過剰摂取の心配?

ビタミンAの過剰摂取の心配?

卵は完全栄養食と言われるほど栄養が詰まっていますが、ビタミンAが豊富に含まれているため、心配だと考える妊婦の方もいらっしゃるでしょう。妊娠中にビタミンAを過剰摂取してしまうと、赤ちゃんが先天障害を持って産まれてくる確率が高くなると言われています。特に、細胞分裂や成長スピードが早い妊娠初期は、気をつけるべきです。

卵には、ビタミンAが豊富に含まれていますが、1個あたりおよそ86μgなので、多めに食べても1日の上限数である1500μgを超えることはないでしょう。

また、ビタミンAを気にして摂取を控えすぎてしまうと逆に不足してしまい赤ちゃんに影響してしまうことも考えられます。妊娠中は、1日に600μg摂取するのが望ましいとされていますので、適度に卵を食べてビタミンAを補給しておくようにしましょう。

どうしても生卵を食べたい場合は?

どうしても生卵を食べたい場合は?

妊娠中は食中毒にかかりやすいため、基本的には生卵を食べないようにしましょう。ただ、たまにどうしても食べたくなってしまうこともあるでしょう。食中毒に感染するリスクは0%ではないため、注意が必要ですが、生卵を食べるうえでの注意点についてご紹介しておきましょう。

新鮮な卵を選ぶ

卵に含まれるサルモネラ菌は、常温で長期保存していると増殖しやすくなります。そのため、できるだけ新鮮な卵を選び、必ず冷蔵庫で保存するようにしましょう。

また、卵の消費期限を守ることも大切です。冷蔵庫で保存していても、購入してから何日もたっているものは、生で食べないようにし、必ず加熱処理して食べるようにしましょう。

菌を除去する

菌を除去する

どうしても生卵を食べたい場合は、サルモネラ菌が除去されている卵を選んだり、購入した卵を良く洗って菌を取り除いておいたりするようにしましょう。

また、熱湯にさっとくぐらせるだけでも、表面の菌を殺菌することができます。そして、卵を触った手は必ず石鹸で洗い、口元や他の食材に触れないようにしましょう。

まとめ

妊婦が生卵を食べるべきかどうかという意見や、調理済みの卵の摂取量など幅広くご紹介しました。卵は完全栄養食と言われるほど優秀な食べ物なので、妊娠中に食べるべき食品として推奨されています。

ただ、妊娠中は免疫力が低くなるので、生卵で食べるのは極力避けるようにしましょう。また、調理済みの卵であっても、食べ過ぎると肥満に繋がりやすくなるので、注意が必要です。

妊娠中は、さまざまな食事の制限が加わるため、ストレスを感じやすいかもしれませんが、母体と赤ちゃんの健康を守るためにも、日々の食生活を見直し、楽しく健やかに過ごせるようにしてください。

参考※1 厚生省 卵によるサルモネラ中毒の発生防止について
参考※2 東邦微生物病研究所 卵とサルモネラについて

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