臨月に入ると、出産が近いことからソワソワと心が落ち着かないことが増えてきますよね。臨月の身体は、今までの妊婦生活の中でもお産に関係するさまざまな変化が生じる時期ですから、些細なことでも見逃さないようにしましょう。
特に気を付けて頂きたいのが、臨月のおりものの状態です。お産が近づいてくるとおりものの状態は変化してきますし、おりものを見ることで出産が近いかどうか判断することも可能になります。そこで、臨月のおりものに関するさまざまな情報を、幅広くご紹介していきましょう。
通常のおりものとは?
そもそも、おりものとはどのような役割をしているものなのか、ご存知でしょうか。おりものの役割は幅広く、身体の状態によってさまざまに変化していきます。まずは、基本的なおりものの役割についてご紹介しておきましょう。
おりものの正体について
透明だったり白くなったりするおりものですが、おりものは何からできているのでしょうか。基本的におりものは、子宮頚部や膣から出てきた分泌物や、子宮や膣から剥がれ落ちた古い細胞などが混ざり合ったものからできています。
膣内を清潔に 自浄作用
おりものには、膣内を清潔に保つための役割があります。おりものが分泌されることで、膣の中はpH4.5~5.0の弱酸性で保たれるため、さまざまな細菌が繁殖することを防いでくれるのです。
また、膣内には大腸菌やカンジダ真菌などの繁殖が起きやすいですが、おりものがあることでデーテルライン桿菌という善玉菌が活発に働けるようになるため、膣内の状態を正常に保ってくれるでしょう。
妊娠中は、おりものの量が増えやすいですが、これは赤ちゃんを雑菌から守るために分泌量が多くなっているのです。
受精しやすくするため
排卵期に分泌されるおりものは、受精のサポートも行っています。精子をおりもので包み込むことで保護し、卵子へとたどり着きやすくしてくれるからです。そのため、排卵期のおりものは量が増えやすくなります。
臨月おりものと通常おりものの違い
おりものの役割は、自浄作用により膣内を雑菌から守ったり、受精をサポートしたりすることがメインとなっています。ただ、臨月のおりものに関しては通常とは少し役割が異なってくるので、ご説明しておきましょう。
産道が潤い赤ちゃんがスムーズに
臨月になるとおりものの量が増える傾向がありますが、これはお産の準備が始まっているからです。おりものの量が増えることで、産道が潤い赤ちゃんがスムーズに出てきやすくなります。そのため、臨月のおりものは潤滑油として分泌されるようになります。
出産が近くなると、エストロゲンの分泌量が増えるため、それに伴いおりものの量も増えてきます。かたまりのようにドロッとしたおりものが出ることが多くなれば、お産が近いと考えて良いでしょう。
臨月のおりもの特徴
臨月に分泌されるおりものには、さまざまな変化が生じます。ただ、おりものの変化には個人差があるため、全ての人が同じようなおりものになるとは限りません。そこで、臨月に分泌されるおりもののパターンについて、ご説明しておきましょう。
臨月に水っぽいおりものが増える場合
臨月になると、おりものが水っぽくなる方が多くなります。サラサラと水のように軽いため、破水と間違える方もいらっしゃいますが、陣痛などが起きず、おりものライナーで受け止めきれるくらいの量の場合、おりものの可能性が高くなります。
ただ、水っぽいおりものが出て数日後に破水するケースもあるので、おりものか破水なのか判断しにくい場合は医師に連絡しアドバイスをもらうようにしましょう。
臨月にゼリー状のおりものが増える場合
臨月になると、粘り気の強いおりものが増える方もいらっしゃいます。ドロッとしていて、ゼリー状に近いおりものに感じることもあるでしょう。
このようなおりものが出てくる場合、潤滑油の役割を担っているためお産が近づいている可能性があります。ただ、お産がまだまだ先なのにドロッとした粘り気の強いおりものが出てくることもあるので、必ずしもこのようなおりものが出たからと言って、すぐに陣痛が来るとは限りません。
粘膜栓とは (ゼリー状の塊)
臨月のおりものは増えるのが一般的ですが、サラサラのおりものの中に卵白のように白っぽく粘度の高いおりものや、固形に近いものが混ざってびっくりされる方も多いと思われます。
これは粘膜栓と呼ばれるもので、子宮頸管から分泌される粘膜がゼリー状に固まり、子宮頸管にぴったりはまって外部から細菌が進入しないような働きをしています。分娩が近づいて少しずつ子宮口が開いてくると、この粘膜栓が溶けて体外に排出されます。
こう見ると粘膜栓が全て排出されるとすぐに陣痛が起こるように思えてしまいますが、実際はこれから赤ちゃんが下がり、おしるしや前駆陣痛が始まる出産へのスタートラインなのです。道のりはまだ長いですが、粘膜栓が出るのは順調に進んでいる証拠ですから、あまりあせらないようにしてください。
臨月のおりものの色について
臨月のおりものは、量が増えたり水っぽくなったり、粘り気が強くなったりしますが、色にも変化が生じてきます。ただ、これも個人差が大きく、透明の方もいれば、半透明、白っぽい白身のような色、黄色、茶色とさまざまな色に変化する場合もあります。
ただ、注意していただきたいのが茶褐色やピンク色、赤色のように血液が混じった場合のケースです。この場合、おしるしの可能性もありますが、子宮腔内のどこかが傷ついている可能性もあるので、医師に報告し様子を見るようにしましょう。
臨月のおりものニオイについて
臨月のおりものは、ニオイが変化することもあります。今まで無臭だったのが、少し酸っぱい臭いに変化したり、人によっては生臭いニオイに感じたりすることもあるでしょう。もちろん、ニオイが全く変化しない場合もあります。
臨月に入り、今までと違うおりもののニオイがしてきたら、身体に何らかの変化が生じている証拠だと考えて良いでしょう。
臨月のおりものに変化がない人もいる
臨月になると、おりものの量が増えたり、粘り気や色、ニオイに変化が生じたりするようになります。しかし、このような変化が全く起きない方もいるため、臨月に入ってもおりものに変化がないからと、焦る必要はありません。
おりものが全く変化しないままお産を迎える方もいらっしゃいますので、いつ陣痛が来てもおかしくないつもりで行動すると良いでしょう。
増えたおりもので起こるトラブル カンジダ
臨月に入り、おりものが増えて陰部にかゆみが出るとかぶれたかな?と思う妊婦さんも多いですが、実はカンジダによる症状の可能性があります。
カンジダは体に存在する常在菌ですが、免疫力が落ちると常在菌のバランスが崩れてカンジダ菌が増殖し、かゆみ・痛み等の症状を引き起こします。カンジダに感染したまま出産すると、母子感染して赤ちゃんの口の中に白い苔が生える鵞口瘡や皮膚炎が現れ、治療が必要になります。
ですからただのかぶれと過信せずに、一度医師に見てもらうと確実です。もしカンジダと分かっても治療すれば出産までに完治しますし、もし完治しなかった場合でも分娩中に感染防止の点滴を行います。カンジダが治らないから帝王切開と言うことはありませんので安心してください。
おりものに血が混じる?おしるしの可能性
臨月に入り、おりものに茶褐色やピンク色、赤い色が混じるようなら、おしるしの可能性があります。おしるしもおりものの一種で、これが確認されると数時間後に陣痛が起きることが多く、出産が近づいている可能性が高いと言われています。
おしるしのメカニズムについて
臨月になり出産が間近になってくると、子宮口が開き始めて子宮が収縮していきます。すると、赤ちゃんを包んでいる卵膜という袋が剥がれ、微量の出血が生じます。その出血が、おりものに混じり確認されるのです。
ただ、同じように卵膜が剥がれても出血が起きずおしるしが確認されないケースもあるので、おしるしがないからと心配する必要はありません。
おしるしから陣痛までの期間
臨月に入り、おしるしが確認されたらいよいよお産が近づいていると気持ちが高まってきます。しかし、おしるしが確認されてから陣痛が起きる時間には個人差があるため、すぐに陣痛が始まるとは限りません。
おしるしが確認されてから4時間後に陣痛が起きた方もいれば、1週間後に陣痛が起きる方もいらっしゃいます。そのため、おしるしがあるからといって慌てすぎないようにしましょう。
おしるしの回数について
おしるしが確認されると、お産が近づいていると心の準備ができます。ただ、おしるしは1回だけとは限りません。おしるしが3日以上続く場合もあれば、1日~2日おきに出る場合もあります。
医師からおしるしの回数を聞かれることもあるので、いつおしるしが確認されたかメモしておくと良いでしょう。
おしるしの量や色について
多くの場合、おしるしとして確認されるのは、少量の出血を伴った、少し粘り気のあるおりものです。色はピンク色や茶褐色が多いでしょう。しかしこれにも個人差があり、透明に近い状態のおしるしもあれば、鮮血の色で出てくる場合もあります。量に関してもおりものライナーで済む場合もあれば、生理並にナプキンが必要になる場合もあります。
おしるし以外の可能性もあるので、不安な場合は医師に報告し、確認してもらうようにしましょう。
おしるし以外の出血
おしるしだと思っていたら、別の原因で出血している場合もあります。健診では器具を使うため、時々膣内に傷ができてしまうため、健診当日や翌日に出血が確認されることが多いでしょう。
長時間ダラダラと出血が続くこともあるので、そのような場合は医師に報告し、適切な処置を行ってもらうようにしてください。
臨月おりもの以外の分泌物が出た場合は
臨月に入ると、おりものに変化が生じやすくなりますが、おりものだと思っていたものが実は違う場合もあります。臨月に入ると、さまざまな分泌物が増えてくるため、間違えないようにご説明しておきましょう。
尿漏れの可能性
臨月に入り、おりものが出た感じがしてトイレに行くと、アンモニア臭を感じることがあります。色が黄色っぽいようなら、尿漏れの可能性が高いでしょう。
臨月に入ると、お腹が大きくなってくるため、骨盤底筋の負荷が強くなりますし、子宮で膀胱が強く圧迫されるため、重い荷物を持ったりくしゃみをしたりすると、その瞬間に尿漏れしやすくなってしまうのです。
人によっては、おりもののようにジワっと尿漏れする場合があります。その時、キュッと力を入れて止められるようなら、おりものではなく尿漏れの可能性が高いでしょう。
どちらかな?と思った時は、トイレに行き、おりものライナーが黄色く、尿特有のアンモニア臭を感じたら、高い確率で尿漏れと考えるべきです。骨盤底筋は、スクワットや尿をガマンするように力を入れることで鍛えることができるので、トレーニングするようにすると尿漏れの頻度を下げることができるでしょう。
臨月は注意 破水の可能性
臨月に入り、水っぽいおりものが大量に出てきた場合、おりものではなく破水している可能性があります。破水すると、羊水が減ってしまいますが、一度の破水で全ての羊水が流れ出るわけではないので、慌てる必要はありません。
破水が起きてから陣痛が起きるケースもありますので、まずは医師に報告するようにしましょう。また、破水すると雑菌が子宮腔内に侵入しやすくなるため、お風呂は入らないようにしましょう。
破水の出方について
破水の場合、尿漏れやおりものと違い自分の意志で止めることができません。チョロチョロと少しずつ量が漏れ出してくる場合もあれば、急に多めの量が破水する場合もあります。
安静にしていても出続けることが多く、動くたびにじわじわ滲み出してくることもあるでしょう。臨月のおりものにはサラサラと水っぽいものもありますが、なかなか止まらない時は、破水の可能性を考えた方が良いでしょう。
破水したときのニオイや色について
破水した場合、独特のニオイが生じることがあります。人によって個人差はありますが、生臭い、甘酸っぱい、精子のニオイ、今までとは違う独特のニオイ、または無臭ということもあります。色に関しては、透明、黄色、黄緑色が多いでしょう。
破水の前兆について
臨月に破水が起こる場合、何も感じずに突然破水が起きることもあれば、何かしらの前兆を感じることもあります。パチンとゴムがはじけるような音がしたら破水が起きたり、お腹の張りが強いと感じて破水が起きたり、お腹に強い衝撃を感じて破水が起きたりします。
お腹にいつもと違う音や感じがあった後、水っぽいものが出てくるようなら、破水の可能性が高いと言えるでしょう。
破水は陣痛が起きてから発生する
臨月に破水が起きると、お産が近づいているとカウントダウンが始まったように感じますが、本来破水は、陣痛が起きてから引き起こされるものです。
通常は、陣痛が起きて子宮口が10cm位に全開したところで破水し、赤ちゃんが出てきます。しかし、子宮口が全開になる前に早期破水をしたり、陣痛の前に前期破水してしまったりすることもあります。さらに、子宮の上部が破れて起こる高位破水が起こることもあるでしょう。
臨月に入ると、いつ破水が起きてもおかしくない状態が続きますが、破水すると雑菌が入り赤ちゃんに影響が出てしまうことがあります。そのため、破水が起きてから24時間以上たっても陣痛が来ないようなら、陣痛促進剤を使うケースもあります。
まとめ
臨月のおりものについて詳しくご紹介しました。いよいよお産が近づいているということで、心身ともにソワソワしている状態が続きますが、おりものの状態をチェックすることで、本番が近付いているかどうか判断することができます。
臨月はより一層身体も重たくなりますし、身動きが取れなくなることが多くなりますが、おりものはしっかり確認し、いつでも準備万端の状態に備えておきましょう。臨月のおりものに関する知識を学んでおくことで、安心してお産に臨んでください。