妊婦は、体調の変化やライフスタイルの変化にストレスをためがちです。ストレス発散のためにも、ゆっくりと温泉に浸かってリラックスしたい!という方も多いでしょう。温泉はいいの?との疑問もあります。
妊娠中の妊婦が温泉に入らない方がいいと言われており、多くの温泉施設が、妊婦の入浴を禁止していました。しかし、2014年に環境省が見直しを行い、妊娠中でも入浴が可能になりました。このことがきっかけで、妊婦も温泉を楽しめるようになったのです。
ただ、妊娠中の温泉は気をつけるべきことがたくさんあります。安全に安心して温泉を楽しめるように、注意すべき点など知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介します。
昔 妊娠中に温泉入浴を避けていた理由
今まで妊娠中の妊婦の入浴は避けるべきだと言われていました。しかし、環境省の見直しにより、入浴禁止は解除されています。検討した結果、入浴による母体や胎児の影響が確認されなかったからです。
入浴はリラックス効果を高め、冷えを改善・予防してくれるものなのでうまく利用することで、身体に良い影響を与えてくれます。
妊婦の温泉入浴の注意
環境省が見直しを行ったからといって、イキナリ妊婦が、長時間入浴し続けることは好ましくありません。妊婦の入浴には、いくつか守るべきルールがあります。自宅だけに限らず、温泉施設の利用時にもルールを守り、安全に入浴を楽しみましょう。
入浴時間について
妊娠中の妊婦が、温泉に入浴する時間は、長くても10分程度に抑えておいたほうがよいでしょう。長時間入浴し続けると、体温が上がりすぎてしまうからです。
妊娠中は身体がうまく動かせないことから、のぼせが発生してしまうと転倒してしまう恐れもあります。できるだけ長湯をしたいという方は、10分ごとに休憩を入れながら入浴を楽しみましょう。
温度について
温泉に入る場合、チェックしていただきたいのが温度です。身体の疲れを癒し、リラックスにもつながるのは、42℃以下の温度です。
かといって、温度が低すぎると身体が冷えてしまうので、40℃前後の温泉を選ぶようにしましょう。自宅で入浴する場合も、設定温度を調整しておくと安心です。
妊婦は転倒に注意
妊娠中の妊婦が温泉に入る場合、最も気をつけたいのが転倒です。洗い場や脱衣所は、水で滑りやすくなっています。
また、お腹が大きくなってきている妊婦だと、お腹の膨らみで足元が見えづらくなってしまいます。石鹸や落ち葉、タオルに気づかず踏んで転倒してしまうこともありますので、1歩1歩ゆっくり移動するようにしましょう。
共同温泉の脱衣所は注意を
妊婦は温泉に入ってはいけないというのがこれまで一般的でしたが、現在では上記でもお話した様に、問題ないという報告がされています。但しこの報告は入浴に関する事のみで、多くの人が出入りする共同温泉の脱衣場は注意すべきという意見も多いです。
例えばヘルペスは出産時に胎児が感染し最悪の場合は脳障害を起こす事があるため、妊婦でヘルペスになった時は早急な治療を行う必要があります。ヘルペスは再発した場合は症状が現れないので、患者が気づかず共同浴場の椅子やタオルを使用した場合、他の人に感染する可能性も考えられます。
温泉に入る場合は貸切の家族風呂が一番ですが、共同浴場に入る場合は気を付けましょう。
温泉の種類について
妊娠中の妊婦は、外からの刺激に敏感に反応します。このことから、刺激の強い温泉は皮膚が荒れてしまい、かゆみが生じることも考えられます。
匂いも強い硫黄系の温泉、高濃度の塩系の温泉、微量の放射線を含むラジウム系温泉は避けたほうがよいでしょう。弱アルカリ性の単純温泉なら、匂いも刺激も少ないので妊婦にオススメです。
選ぶなら源泉掛け流し
妊娠中の妊婦は、免疫力が下がりさまざまな菌に感染しやすくなります。循環式の温泉の場合、カンジダやクラミジア、レジオネラ菌の影響が心配になります。
よほど衛生管理がずさんな温泉の場合に限り、このような心配がありますが、一般的な温泉施設であれば問題はないでしょう。ただ、万が一のことを考えて不安を感じるようなら、源泉掛け流しだとより安心です。
妊娠中は体調の変化が心配
妊婦は、体調の変化が突然やってきます。温泉に入浴している最中につわりが発生したり、貧血を起こしたりする可能性も考えられます。
このことから、1人で温泉に入浴するのは避けるようにしましょう。夜遅い時間帯や、朝風呂など人数が少なくなる時間帯は、入浴を控えたほうが望ましいと言えます。
妊婦は家族風呂なら安心
妊娠中に温泉を楽しみたいと思いながらも、大きくなったお腹を見られるのが恥ずかしい、転倒や感染の心配がある、という方は家族風呂を選んでみてはいかがでしょうか。事前に申し込んでおけば、家族だけで温泉を楽しむことができます。
また、お部屋に温泉がついているプランを選ぶのも良いでしょう。好きな時間に入浴を楽しむことができますし、お湯に疲れたらすぐにベッドで休むことができます。何よりプライベートの空間が確保されているので、気兼ねなくリラックスすることができるでしょう。
妊婦の足湯の活用
入浴するのは心配だけど、温泉は楽しみたい!という妊婦の方に最適なのが足湯です。足湯は、ひざ下のみの入浴なので、急激に身体が温まりすぎることもないため、安心して楽しむことができます。
また、衣服を着脱しなくても良いので、手軽に楽しめるのも魅力です。足回りは冷えやすいので、冷え性持ちの妊婦にもオススメです。
妊婦の温泉効果
体を温める効果
妊婦にとって、身体が冷えることは良くありません。特に、妊娠初期の頃は胎盤を形成している時期なので、体温は高い状態が続きます。
この時期に身体が冷えてしまうと、体温を一定に維持できなくなり、胎盤作りにも影響してくるので注意が必要です。温泉に入ると、身体がポカポカ温まった状態が長持ちしやすいので、冷えを予防することができます。
温泉のリラックス効果
妊娠中の妊婦は、たくさんの変化に気持ちが不安定になりがちです。特に、初めて妊娠を経験した人にとって、出産や子育ての不安は常に頭をよぎるでしょう。
人によっては軽いうつ状態になることもあり、その状態をマタニティブルーといいます。このマタニティブルーが進行してしまうと、情緒不安定になりやすいので、温泉でリフレッシュしていきましょう。景色のよい場所で温泉に浸かることで、日頃のストレスも一緒に洗い流すことができるはずです。
夫婦水入らずの時間
妊娠中の妊婦が、温泉を利用するのは他にもメリットがあります。それが、夫婦にとって水入らずの時間を持つことができるということです。
赤ちゃんが生まれれば、成人するまで2人の時間はそう持てるものではありません。だからこそ、妊娠中に2人の時間を楽しめるようにしましょう。
家事からの開放
妊娠中の妊婦にとって、妊娠初期はつわりがひどく、妊娠中期・後期はお腹が大きくなるので動きづらくなります。今まで問題なくこなせていた家事も、テキパキとこなせなくなるでしょう。
身体をうまくコントロールできず、家事が進まないことはイライラしがちですが、温泉施設に宿泊して家事から解放されることで、イライラから距離を置くことができます。食事においても、事前に伝えておけばお刺身など生ものを取り除いてくれるので、安心して食べることができるでしょう。
できるだけ遠出の温泉旅行は避ける
妊娠中の方が温泉に入る時は、安定期であっても移動の疲れや温泉の効果で急な身体の変調が起きる事があります。
万が一体調が崩れてしまった時にすぐかかりつけの病院に行けるように、安定期であってもなるべく近場の温泉旅行にすべきです。いくら前から行きたい温泉だったとしても、移動に車で丸1日かかるような温泉では旅館側も客の体調を考慮して断る事も考えられます。
近くに温泉が無い時はスーパー 銭湯を活用して、行きたい温泉地は赤ちゃんが大きくなってからの家族旅行のために楽しみに取っておくのも良いでしょう。
お医者さんに相談
妊娠中だけれど、温泉に行きたい!でも本当に行って良いのか不安、という方もいらっしゃると思います。そんなときは、お医者さんに相談しておけば、温泉の種類や入浴の注意についてアドバイスしてくれるでしょう。
できれば、移動時間の短い近距離が望ましいと言えます。安全に楽しむためにも、近場でリラックスできる温泉施設を探しましょう。温泉施設によっては、マタニティプランがあり、妊婦専用の対応をしているところもあるので、選ぶときの参考にしてください。
宿泊先には妊娠中である事を事前に伝える
妊婦が温泉に入っても問題ないという報告がされたのはつい最近の事なので、温泉旅館の中には未だに妊娠中の方の入浴を断る所も多いです。
妊婦でもOKという温泉旅館を選ぶのが一番なのですが、近くの温泉地には妊娠中の入浴に関する情報がまったく無い旅館ばかりという場合もありますね。妊娠中はずっとダメ・安定期のみOK・妊娠中どの時期でもOKなど、旅館によって妊娠中の方に対する入浴ルールは様々なので、泊まりたいと思う旅館があったらまずは妊娠中の入浴について問い合わせてみましょう。
もし予約時に妊娠中である事を伝えないと、現地に行ってからトラブルになったなんて事にもなりかねません。マタニティサービスを備えている旅館も増えているので、サービスをしっかり受けるためにも事前に伝えておきましょう。
ここまでのまとめ
妊婦が温泉施設を利用する時の注意点などの情報をご紹介しました。温泉に浸かることで、気持ちがリラックスしますし、身体を温めることもできます。また、夫婦2人の時間も楽しむことができるでしょう。入浴のルールを守り、安全に安心して温泉の時間を楽しんでください。