水中出産について知っておきたいこと

水中出産が気になります。いい点と悪い点とは 出産

妊婦にとって、初めての出産は不安だらけではないでしょうか。痛みはどれくらいあるのか、無事に生まれてくるだろうか、陣痛はどれくらい続くのだろうかと、未経験だからこそ、たくさんの不安が押し寄せてきます。

出産方法には、さまざまな選択肢がありますが、中でもオススメなのは水中出産です。水中出産には、たくさんのメリットが詰まっており、妊婦のあいだでも急速に広まってきています。水中出産とはどのような方法なのかなどの詳しい情報をご紹介していきましょう。

水中出産とは

水中出産とは

妊婦のあいだで急速に広まる水中出産ですが、具体的にどのような方法で行うものなのでしょうか。

まず、水中出産は妊婦が水中に入った状態で出産します。

一般的な水中出産では、1人用のバスタブやジャグジーに体温と同じくらいのお湯をいれて使用します。稀にプールのような広い場所で行うケースもあるようです。

なぜ水中出産が良いのか

なぜ水中出産が良いのか

水中出産は、通常の出産とは違い水中で出産します。しかし、通常の出産と比べると、なぜ水中出産の方に関心が寄せられているのでしょうか。それは、水中出産にすることで、たくさんのメリットがあるからです。

水中出産は痛みが軽減される

水中出産は痛みが軽減される

まず、水中出産では不安と痛みを大幅に減らすことができます。初めての出産で、不安を強く感じている人ほど効果的です。疲れていてもお風呂に入るとホッと力が抜けてリラックスするのと同じで、水中に入ることで気持ちが和らぎ、不安を感じにくくさせてくれます。

お風呂の様な気持ちになる水温

水温がポイント

水中出産では、不安や痛みを大幅に減らすことができます。水中に入るとリラックスすることが大きく関係していますが、お風呂に入って気持ちが和らぐのは、水温が適温だからです。

水中出産で使う水の温度は、体温と同じ37度前後で調整されることがほとんどです。冷たすぎず、熱すぎないことから安心して入り続けることができます。

また適度に身体が温められることで、陣痛の痛みを大幅に減らすことができるのです。筋肉痛や生理痛など、体に痛みがあるときにお風呂に入ると和らぐのは、身体が温められて血行が良くなっているからです。

このことから、水中出産は別名「無痛出産」と呼ばれるくらい、妊婦はリラックスして生むことができるのです。

水中出産は姿勢がとにかく楽

水中出産は姿勢がとにかく楽

水中出産は、水中に身を預けることから、浮力により身体を動かすのが楽になります。大きなお腹がある状態で陣痛が来ているのですから、普通の状態なら姿勢を変えるのにも一苦労です。

しかし、水中出産なら重力から解放されるため、好きな角度に身体を移動させることができます。仰向けになったり、横向きになったり、四つん這いになったりと、その時に一番楽な姿勢を探しながら動けるため、痛みも緩和しやすいのです。

また、水中で体の角度を帰るときには、バスタブの縁や手すりだけでなく、天井から吊るしたロープなども使用できるため、かなり自由に動くことができます。ただし施設によって準備しているバスタブの形状が違う場合や、ロープや手すりがついていない場合もありますので、確認しておくとよいでしょう。

水中出産は陣痛の時間が短縮する?

水中出産は陣痛の時間が短縮する?

水中出産をすると、陣痛から出産までの時間が短くなると言われています。これは、リラックスや血流の良さが関係していると言えるでしょう。

また、水温で身体が温められると筋肉の力が抜けやすくなり、産道を赤ちゃんが通りやすくなります。

スムーズに赤ちゃんが出てこられることで、お母さんだけでなく赤ちゃんの負担も減らすことができるでしょう。

会陰切開が少なめになる?

出産では、赤ちゃんが出てくるとき会陰の大きさが充分ではない時には会陰を切開して出産します。通常の出産の場合、会陰切開する割合は妊婦全体の約40%にものぼります。しかし水中出産の場合、約20%にまで減少するのです。

これは会陰周辺の皮膚が水により柔らかくなっていることから、会陰が開きやすくなるためです。また、会陰切開が必要な場合でも、少しの範囲で済むと言われています。

気になる赤ちゃんへの影響

気になる赤ちゃんへの影響

水中出産は、お母さんにとってはメリットの大きなものになります。では、赤ちゃんにとってはどのように影響するのでしょうか。

まず、水温で身体が温められることで、産道が柔らかくなり、スムーズに移動することができます。また、赤ちゃんはもともと羊水という水の中にいたため、水中へと出ていくことに抵抗はありません。

水中に出産してしまうと、赤ちゃんが生まれた時に溺れてしまわないかと心配になる方もいらっしゃいますが、基本的に赤ちゃんは水面から顔を出した時に呼吸を初めてします。水中にでてから1分以内に引き上げれば問題なく呼吸を開始することができますので、安心して生むことができるでしょう。

水中出産の注意点

水中出産の注意点

良いことづくしの水中出産ですが、もちろん注意点はあります。ひとつは、メリットにもなっている水温です。

水温により身体が温められることで痛みや不安が緩和されるとご紹介しましたが、血流が促進されることから、出産に伴う出血の量が増える可能性があります。

また、陣痛が開始されてすぐに水中出産の体制に入ってしまうと、体力がどんどん消耗されて出産する時の体力が持たないということもあります。陣痛が長引けば長引くほど、体力が消耗され、陣痛が弱くなる可能性もあるので、タイミングを見計らうのが難しい点があります。

水中出産の衛生面の心配

水中出産は、体温に近い水温につかりますが、37度前後は雑菌が繁殖しやすい温度でもあります。きちんと水質管理されていなければ、出産と同時に赤ちゃんが菌に感染してしまう恐れもあるでしょう。

また、出産に伴い母体にも菌の影響が出る可能性もあります。外国での水中出産を考えている方は、衛生面に特に注意するようにしましょう。

水中出産のトラブル時の対応

水中出産のトラブル時の対応

水中出産は母子の細菌感染が最も大きなリスクですが、次に問題が発生した場合適切な治療を受けるまでにタイムラグが発生してしまう事です。

産婦人科医が勤務する病院では水中出産を勧める事はほとんどないので、水中出産を望む方は自動的に水中出産を行っている助産院で出産する事になります。

しかし助産婦は医療行為が出来ないので万が一の事があれば病院へと搬送するのですが、助産院が病院と提携していないのならば患者を受け入れてくれる医療機関は極わずかです。

受け入れ先を探している短期間でも赤ちゃんやお母さんの容態が急変しまう事が多く、最悪の結果になってしまった事件もあります。メリットとデメリットを公平に見て出産方法を決定すべきです。

水中出産の痛みは個人差がある

水中出産の痛みは個人差がある

水中出産のメリットは痛みが和らぐ事です。初産婦にとって陣痛はまったく未知の感覚なので、それが軽減されるとなれば水中出産に興味をもたれる方も多いのではないでしょうか。しかし陣痛の痛みが和らぐといっても実際どこまで軽減されるのかは、個人差によると言ってよいでしょう。

赤ちゃんが狭い産道を通るのですからいくら身体が弛緩していても痛みはありますし、特に元々痛いのが嫌いという方は水中出産であっても思っていたより痛かったと感じる場合もあります。

水中出産が気になる目的が痛みの軽減ならば、もっと手軽で効果的な麻酔による無痛出産もありますので、よく情報を集めて比較してみてはいかがでしょうか。

水中出産に耐えられる体作りが必要

水中出産に耐えられる体作りが必要

妊婦と産まれてくる赤ちゃんを主体とした出産のやり方をアクティブバースといいますが、水中出産はその代表的な出産方法です。

自分が主体という部分を、分娩台に 乗って周りにされるがままになるのとは違って自分が赤ちゃんを産むのだと解釈し、そこに魅力を感じて水中出産を選ぶ妊婦も多いのですが、それを叶えるには自分で分娩を頑張れるだけの体力をしっかり作っておかなければなりません。

プールに入ればすぐ産まれるわけではなく、通常の分娩と同じくいきんだり陣痛を逃す必要があり、また水圧がかかる事から体力を消耗しやすいです。

せっかく水中出産を選んでも途中で容態が急変し普通出産や帝王切開に変更した、というケースもあるので、水中出産に耐えられる体力を妊娠中からしっかりつけておきましょう。

水中出産できる妊婦、できない妊婦

水中出産できる妊婦、できない妊婦

水中出産は、魅力的な出産方法のひとつですが、妊婦であれば誰でもできるというわけではありません。

赤ちゃんが逆子になって戻らない場合や、双子以上の赤ちゃんを授かっている場合、早産になっている場合、エイズや肝炎、心臓病など病気を患っている場合は、水中出産することはできません。

また、その他の理由でも医師が水中出産はリスクが高いと判断すれば、結構することはできません。また、根本的に泳げなかったり、溺れた経験があったりするなど水に不安を感じる方は、水中出産以外の選択肢を選んだほうが良いでしょう。

自宅での水中出産は可能なのか?

自宅での水中出産は可能なのか?

水中出産したいけれども施設が周りに無いという方は、自宅での水中出産を検討するかもしれません。現実的には難しいです。

確かにお風呂ならば水中出産のプールとして代用可能に見えますが、実際に使用するとなれば細心の注意と準備が必要になります。

浴槽はもちろんお風呂にあるものは全て薬品で消毒・殺菌しなければなりませんが、それでも細菌感染の可能性はまだ高いので、お風呂に入るのは陣痛を和らげるためだけに止めて分娩は布団の上で行うなど、水中出産では無くなってしまいます。

必ず助産婦とよく相談して、もし無理な場合は諦めるのも大事です。お母さんの希望が叶って水中出産が出来ても、赤ちゃんに異常が発生してしまえば意味がないことになってしまいます。

水中出産を日本で行う場合

水中出産を日本で行う場合

海外を中心に広まりつつある水中出産ですが、日本ではまだ体制が整っていないのが現状です。

水中出産に対応している施設はいくつかありますが、数に限りがありますし、体制も施設によって異なるので、事前によく確認しておくことが大切です。

さらに、水中出産の設備がある施設でも、医師の判断により途中で水中出産から通常の出産スタイルに変わるケースもあります。医師が出産に対してどのように考えているのか、話し合っておくと安心です。

水中出産の費用

水中出産の費用

あまり知られていない出産方法なだけに、費用がどれくらいになるのか見当がつかない方がほとんどなのではないでしょうか。一般的には、通常の分娩費用に数万円がプラスされる程度と言われています。

しかしそもそも施設が少ないため平均額というのもないので、中には数十万円が上乗せされるケースも。また、もし水中出産でお母さんや赤ちゃんに問題が生じれば、分娩費用に加えて入院費・治療費・薬代がプラスされるので、かなりの金額になる事も予想されます。

水中出産を行っている施設で金額をしっかり調べて費用を確認しましょう。

まとめ

水中出産に関するさまざまな情報を幅広くご紹介しました。良い部分も、良くない部分もある水中出産ですが、興味のある方は一度近くの産婦人科に相談してみてはいかがでしょうか。

さまざまな出産方法がわかっただけでも、選択肢が増え、産む楽しみは増えていきます。出産は我が子と初めて出会う瞬間ですので、よりよい出産方法を見つけていきましょう。

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